今、大学生の2人に1人が利用する奨学金。その大半が「日本学生支援機構(JASSO)」の「貸与型」であり、大学や大学院を出てからの返還に苦しむ人が増えているのだという。
「多くの人は無理をしてでも一生懸命に返すので、返還率は高く90%を超えている一方、延滞する人の8割前後が年収300万未満。返さないのではなくて、返せない状況だ。一般の借金とは違うので、かつては学生を大事にするという視点があったが、取り立てを民間委託するようになって、厳しくなっているという状況もある。やはり最大の問題は、まだ将来の職業や収入が分からない時点で借りてしまうということだ。20代で月に数万円を返すのがどれだけ大変かということが、社会に出る前の高校生や大学生に伝えるのは難しい。以前よりは改善しているものの、貸与前のそうした説明が不十分だった面もある」。
「大学というのは一部の勉強のできる人だけが行くものだというイメージを持たれている高齢の方もいるが、世界的に見れば大学に行く人は多く、同じ職業でもかつてよりも学校に長い期間行かなければ就けなくなっている。実際、OECD諸国の平均では60%を超えているが、実は学費が高いからという経済的な理由から、日本は50%前後と、むしろ大学進学率の低い国になっている。これはやはり高等教育に対する予算がOECDの中で最も一番少ないということに関係している」(「奨学金問題対策全国会議」共同代表の大内裕和・中京大学教授)。
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