元日本テレビ解説委員で、現在は多くのメディアでコメンテーターを務める岸田雪子氏が、子育ての身近な悩みや課題を取り上げる新連載「岸田雪子のBloom Room」。親子の笑顔の“つぼみ”を花開かせる小部屋です。今回は、“夏休み明けの子どもたちのケア”について考えます。
あるアンケートに、子どもたちのリアルな声が届いています。
「おとなのひとはおさけをのみにいけるのに、こどもがあつまってあそぶのはダメなのはなんで?」(小学低学年男児)
「飲み屋さんとかで大人たちが騒いでいるのを見ると、私たちが普段学校とかでしている対策は何だろうなと思う」(中学女子)
学校では友だちと距離を取るよう言われ、給食も黒板の方を向いて静かに食べている子どもたちは、大人の姿や言葉に、疑問を感じることもあるようです。
テレビのインタビューなどでも見かける、こんなシーンに対しても。
「親世代の人が、「こどもがずっと家にいるのがストレス」って言ってるのをよく見るけど、目の前で自分の存在を否定されたらつらい」(中学女子)
このアンケートは、国立成育医療研究センターが6月から7月に行ったもので、全国の親子6,772人が回答。7歳以上の子どもたちは、本人が直接回答できるので、その心情が伝わります。
学校が再開してからは、「勉強が詰め込み状態」という声も。
「勉強ばかりで思い出が全くない」(小学高学年女児)
「がっこうがはじまって きゅうにながくなったから とてもつかれる」(小学低学年男児)
「毎週毎週次から次へと課題を出されても多すぎてやりきれない」(高校男子)
先生や親たちからすれば、「遅れた勉強を取り戻さなければ」という時期ですが、「学校の勉強が早すぎてついていけない」という子どもも少なくありません。
実は、政府は、「最終学年を除いては、次の学年に学習内容を繰り越してもよい」という方針を、全国の教育委員会に通知しています。勉強内容は、先延ばししてもよいのです。焦らずに、子どもたちのペースにあわせた進度を探っていただければと思います。
お父さん・お母さんへのお願いもありました。
「お母さんに 座ってちゃんと聞いてって」(高校男子)
「おうちの人に、すぐに怒らないでほしいと伝えたいです。」(小学高学年女児)
仕事や生活を抱えて大人も不安な時期。そのストレスを、間近にいる子どもはストレートに受け止めてしまいます。
「コロナにかかるのが怖い。学校に行きたくないと思ってしまう」(小学高学年女児)
短い夏休みが終わりに近づき、子どもたちの不安が募りやすい時期です。毎年、9月1日が「18歳以下の自殺がもっとも多い日」として知られるようになりましたが、今年の夏休み終了は地域によってバラバラです。
もし、「学校に行きたくない」と言い出したり、お腹や頭が痛くなったりした時は、学校生活に困り事を抱えているかもしれません。「どうしてそんなこと言うの!」ではなく、「どうしたのかな」と子どもの話をじっくり聴いてあげてください。すぐに解決策が見つからなくても、「それは困ったね」「しんどかったね」とまるごと受け止めてあげるだけで、子どものココロは軽くなるはずです。
「家族に、私をコロナから守ってくれてありがとうと言いたい」(不明)
「大人の皆さん、お仕事ご苦労さまです。私たちも学業を頑張ります。」(不明)
アンケートには、感謝の言葉もたくさんありました。
不安を抱えやすいコロナ禍の休み明け。子どもたちを守れるのは、やっぱり大人です。