爪の角が肉に食い込み、痛みに悩んでいる人の多くが「巻き爪」(爪が横方向に巻いている状態)を伴っています。こういった状態の爪を切るとき、切り方次第で痛みが悪化することがあります。今回は病院でお伝えする爪の切り方、道具の選び方などについて解説いたします。
■病院で教える正しい爪の切り方
「爪の角を切ってはいけないと思っていましたが、ついに痛くて切りました。その後痛みがどんどん強くなり、我慢できずに病院にきました」
私の勤めるクリニックでは、多くの方が足をかばう様にして診察室に入り、こんなエピソードを話されます。私も足ゆびに爪が食い込み、痛くて歩けなくなった経験があるので、爪を切ってしまう気持ちがよくわかります。
しかし、正しい爪の切り方が広く伝われば、爪が原因で悩まれる方が少なくなると日々感じています。予防ができるところは、ぜひとも予防したいものです。大切なポイントはいくつかありますが、今回は病院で伝える「正しい爪の切り方」をご紹介しましょう。
■巻き爪の人に適した爪切りは「ニッパー型」
「爪切り」は、爪を切れればなんでも良いというわけではありません。最もよく見かけるのは、テコの原理を応用した「クリッパー型」と呼ばれるタイプの爪切りです。上下から爪を挟んで切る仕組みですが、よく見てみると爪に接する面は直線になっています。
実は、正常な爪はゆびに沿って横方向にゆるやかにカーブしています。さらに陥入爪(爪が周囲の皮膚に食い込んだ状態)の中でも巻き爪になると、その横方向のカーブが強くクルクルと巻いた爪になってしまい、爪自体も分厚くなっていることが多いものです。正常なカーブの爪を切るのにはクリッパー型で問題がなくても、分厚く硬くそして巻いた爪を切ることは困難です。
また、爪の端まで切ったと思っていても、実は切り残しが棘の様に残り(爪棘)、皮膚に食い込んでいることもあります。「爪が巻き過ぎてうまく切れません」とおっしゃる方は、このクリッパー型の爪切りを使っていることがほとんどで、ラッパのように巻いた爪が切れないのは当然です。
巻き爪でお困りの方は、ぜひ「ニッパー型」の爪切りを選んでください。ニッパー型の爪切りは値段が高いものが多いですが、研ぎ直して大切に長く使うこともできます。クリッパー型爪切りは比較的安価な分、通常研ぎ直しはできませんので数年に一度は買い替えが必要です。
■巻き爪を予防する切り方・タイミング
1つの爪をパチン!と1回で切ろうと頑張らないでください。カーブに沿って4、5回程にわけてゆっくりと切っていきます。
また、爪を切るタイミングはお風呂上がりの柔らかくなったときが最適です。硬く乾燥した爪は、思わぬ割れ爪やヒビが入る原因となります。
■爪を切る頻度
爪を切る頻度は、3週間~1ヶ月に1度で十分です。一般的に、足の爪は1日に0.05mm、1ヶ月で1.5mm伸びると言われています。もちろん個人差があり、年齢、季節、さらにはどの指かによっても違いますが、こまめに切りすぎることには要注意です。綺麗好きの方は、爪と皮膚の間を奥深くまでお掃除するなど、触りすぎて悪化している場合もあります。
■巻き爪を予防する正しい爪の形
足の親ゆびの爪を切るポイントは、先端は直線状に切り、角は深く切らず軽く丸める程度に整えること。ネイル用語で言うところの「スクエアオフ」と言う切り方が理想です。短すぎても長すぎてもよくありません。ニッパー型爪切りで爪を切り、角は爪ヤスリを使っても良いと思います。
痛くても深爪(特に爪の角を切りすぎること)はしないでください!なんとかしたいと思ったら、まずは形成外科、外科、整形外科、皮膚科などに相談しましょう。爪の角を切ると一時的に痛みがなくなることもありますが、爪が伸びた時にさらに巻き込み、痛みも巻き爪の程度も悪化するという悪循環を引き起こします。
■爪を痛めないヤスリのかけ方
爪やすりをかける場合は、左右にゴシゴシとかけるのではなく、一方向にかけてください。右ならずっと右方向に10回という具合です。二枚爪、割れ爪などの原因になります。
(執筆:野田 真喜)
◎写真提供
神楽坂 肌と爪のクリニック
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