クルマの名づけルールは国によってもメーカーによっても様々ですが、ベンツやBMWをはじめとする輸入車は数字やアルファベットを用いた車名が多いのはなぜなのでしょうか? 車名のルールを3パターンに整理してみました。
◎数字やアルファベットなど無機質な車名
メルセデス(C、E、Sクラス)、BMW(1、3、5シリーズ)、アウディ(A1、A3、A4)、プジョー(208、308、5008)、ボルボ(V40、S60、V70)など
◎ペットネーム(愛称)が主流
フォルクスワーゲン(ゴルフ、ザ ビートル)、ルノー(メガーヌ、ルーテシア)、マセラティ(ギブリ、クアトロポルテ)、ランドローバー(レンジ ローバー)、日本車など
◎混合型(数字+ペットネームの車名または、数字の車種とペットネームの車種が混在)
アルファロメオ(159、147、ミト、ジュリエッタ)、ポルシェ(911、928、パナメーラ、ボクスター、マカン)、フェラーリ(360モデナ、612スカリエッティ)など
■英数字タイプは、ドイツ的合理主義が理由
国やメーカーで完全に統一されているとは言えませんが、ベンツやBMW、アウディなどのドイツ製高級車に「数字やアルファベットなど無機質な車名」が多い理由は、ドイツ的合理主義の表れかと思われます。車名から車格や排気量などがすぐに分かりますし、世界戦略車として欧州以外の国で販売する場合、商標に引っかかりにくいというメリットもあります。また、ペットネームの場合、ネガティブなスラングと同じ意味になることもあり、そのたびに車名を変えるのは非合理的。全世界で車名を変えずに販売できるので共通のイメージを貫けて余分なコストも不要です。
■同じドイツ車でもVWは?
しかし、同じドイツ車でもフォルクスワーゲンは全車種にペットネームが付けられています。これは、VW社のポリシーで合理性よりも「フォルクスワーゲン=国民のクルマ」、みんなのクルマというスタンスでユーザーに愛着を持ってもらえるようペットネームにしているようです。ポルシェも911などメインストリームの伝統的な車種については数字ですが、ケイマン、パナメーラ、ボクスターなど派生的な車種はペットネームが付けられています。また、ベンツが2015年より「車種が増えることによる混乱を防ぐ」という理由で車名の命名方法を変えることを発表しましたが、対象となるのは近年発売されたモデルが中心(「GL」→「GLS」、「SLK」→「SLC」など)です。メインストリームのSクラス、Eクラス、Cクラスなどはそのままです。
■日本車にペットネームが多いのは、米英の影響!?
日本車、アメリカ車、イギリス車はほぼすべてがペットネームの車名です。これには理由があります。日本はアメリカから車づくりやクルマの販売方法を学びました。戦前はフォードやGMが日本に組立工場を作って自社のクルマを製造していました。そして、アメリカはそもそもイギリスが作った国なので、アメリカ、イギリス、日本は車名の付け方が似ているのです。
日本車でも世界戦略車のLEXUSは「LS600h」「LX570」と数字やアルファベットで名づけられていますし、マツダ車のように早くから欧州市場をターゲットにしていたメーカーは欧州での車名を「アテンザ→Mazda6」「デミオ→Mazda2」など欧州仕様にしています。