105歳で亡くなるまで精力的に活動したのが、医師の日野原重明です。
民間病院として日本で最初の人間ドッグを開設するなど、予防医学の重要性を説き、「生活習慣病」という言葉をつくりました。
78歳のときに始めた「いのちの授業」は、彼が亡くなるまでの間に全国200以上の小学校で実施。1995年の地下鉄サリン事件では、83歳ながら陣頭指揮を執り、被害者640名の治療にあたりました。
趣味に対しても積極的で、なんと98歳から俳句を始めました。彼を突き動かしたのは、尊敬する哲学者の言葉でした。
日野原医師は、100歳のインタビューでこう答えています。
「75歳を超えてからパソコンや詩吟など、新しいことを嬉々として習い始める高齢者がたくさんいます。私も98歳で俳句を始めました。ユダヤ人の哲学者マルティン・ブーバーの言葉に『人は創(はじ)めることを忘れない限り、いつまでも老いない』とあります。その名言の通り、私も新しいことに挑む限り、人は老いないことを実感しています」
どんなことがあっても、新しいことへの挑戦は脳を活性化させます。それを身をもって実践してみせたのが、次々と新しいことに挑戦した日野原医師です。
ニュージーランド・オタゴ大学のタムリン・コナー博士と2人のアメリカ人研究者らが、650人を対象に行った実験によると、創作活動を何かしら行った翌日は、気分が良くなる人が多いことがわかりました。創作活動はポジティブな感情を引き出します。
といいながらも、新しいことに挑戦するにはなかなか勇気が要りますよね。
最後に、そのためのきっかけになる行動を紹介しましょう。それは「昨日の自分と違うことをひとつやる」ことです。何でも良いのです。いつも食べているパンではなく、初めて食べるパンに挑戦する。いつも通っている道ではなく、違った道を通って、違った景色を見る。お風呂でいつもの右足から入るのではなく、左足から入る。晩酌を、ビールからでなく、焼酎から始めてみる。
いつものパターンを壊すことで、パターンに固執することなく、突発的なことが起こっても対応できる "耐久性" が生まれ、メンタルも強くなります。1日にひとつ、昨日とは違ったことをするだけで、1年で365回も新しいことに挑戦(チャレンジ)することができ、老化も防げるのですから、こんなにいいことはありません。