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イマドキのフィッシング詐欺メールへの「あま〜い誘い文句」があまりに巧妙すぎて、まんまとダマされてしまったマヌケな私…?

つまらない話だけど……聞く? 今日は、つい最近にしでかしてしまった私の失敗談を、恥を偲(しの)んで告白しよう。


1ヶ月ほど前、私の「(Facebookの)Messenger(メッセンジャー)」に突然、↓のようなメールが届いた。

テーマは「恋愛・婚活」と、私の得意分野で、しかも原稿を一から書くのではなく「既存記事を監修する」だけでギャラがもらえる……らしい。なかなかにオイシイ仕事ではないかと小躍りした。

 

文中にある「高橋」なる人物(※なぜか送信元は「ミウラ某(なにがし)」となっていた)と面識はなかったが、Facebookの「共通の友達」の欄には実際の「友達」である面々の名前が数人表記されている。「運営している」とされていたサイトにもリンクしてみたら、そこそこちゃんとしたいくつものコラムがアップされていた。Messengerを通じて新しい仕事を依頼されることもそう珍しくはない(※ここ数年、比較的年輩な同業者のあいだでは、仕事のやりとりをMailやLINEではなく、あえてMessengerで行うケースが増えてきている)。

 

ってなわけで! 1ミリの疑念も抱かずに即刻ほいほいと、文末に私のメアドとケータイ番号を添え、こう返信した。

高橋様(ミウラ様)


お世話になります。

はじめまして、山田ゴメスと申します。

この度はお仕事のご依頼どうもありがとうございます。

もし、私ができることなのであれば、喜んでお引受けさせていただきたく思います。

つきましては、一度ご依頼内容の確認のため、リモートでも対面でも、どちらでも構いませんので、簡単なMTの機会を設けていただくことは可能でしょうか? 

お忙しいさなか恐縮ではございますが、何卒よろしくお願いいたします。

ところが……待てど暮らせどいっこうに “次のメール” が届かない。リアクションがちっともない梨の礫(つぶて)状態──その代わりに(?)数日後、私のメールには「メルカリ」やら「Amazon」やら「JCB」やら「VISA」やら「ETC」やら……挙げ句の果てには、持ってもいない「MasterCard」だとか、契約もしていない「au」(※ゴメスはdocomoユーザー)だとかから、

【最終警告】◯◯◯◯からの緊急の連絡


不正利用防止および利用者保護の観点より、一時的にご利用を制限または、一部のお店や購入される商品によっては決済をご利用いただけない場合がございます。

本人確認の強化を行なっております。

「24時間以内」に下記リンクより認証を完了させてください。

【重要】◯◯◯カード 本人確認のお知らせ


ご本人様のご利用かどうかを確認させていただきたいお取引がありましたので、誠に勝手ながら、カードのご利用を一部制限させていただき、ご連絡させていただきました。

つきましては、以下へアクセスの上、カードのご利用確認にご協力をお願い致します。

 お客様にはご迷惑、ご心配をお掛けし、誠に申し訳ございません。

何卒ご理解いただきたくお願い申しあげます。

ご回答をいただけない場合、カードのご利用制限が継続されることもございますので、予めご了承下さい。

 ……みたいなメールが山ほど届くハメになってしまい、そんな鬱陶しい日々は現在も続いている。


連日のメール攻撃の嵐でさすがにもう慣れっこになってしまったが、初見だと一瞬ドキッとしてしまうスリリングなワードが散りばめられている。ネットで調べてみると、どうやら、アカウントを乗っ取って個人情報を抜き取る「フィッシング詐欺」ってヤツの典型的なパターン……なんだとか。幸い、私はまだ一度もその偽メールに掲載されているURLにアクセスしたことはないのだけれど、もしアクセスしたら


確認中の文字とともに120秒のカウントダウンが出てきて、クルクルと回りはじめながら数字が秒ごとに減っていく画面になり、リアルタイムで利用者の情報を抜き取っていく


……仕組みなのだという。その詳細は、多田文明さんという詐欺や悪徳商法に精通するジャーナリストが寄稿なされているコラムに書いてあるので、万一身に覚えのあるヒトはぜひ↑をクリックして読んでいただきたいのだが、とにもかくにも、この私から個人情報を得るためMessengerによこした “あま〜い誘い文句” のあまりの巧妙さに、まずは感心した。感心してから背筋がゾッと寒くなった。


我々文筆家は、「不労所得」の「不労」のパーセンテージが少しでも大きい仕事(※究極は不労100%の増刷による印税! )を常に探し求める性(さが)に囚(とら)われがちだったりする。原稿一本いくらが原則ゆえ、どんなに速筆なベテランでも、稼げる収入には限界があるからだ。そして、このたび私のMessengerに来た「偽の仕事依頼メール」は、そのような私らの欲深な射幸心を絶妙に煽る、完璧な内容だったのである。


のちのち冷静になって振り返れば、かなりテキトーな会社名(※←一応伏せ字にはしておいたが)、冒頭に「山田ゴメス様」の記述がなかったこと、依頼人の名前が送信元と本文中で違っていたこと……など、怪しい部分もなくはなかったのだが、「不労所得」感に満ち溢れた丁寧な文面に浮かれる、世間知らずな文章と絵を書く(描く)ことしか能がないボンボン(笑)に、そこらへんまでの細かいチェックができるはずもなかろう? 


コレって、「千人にメールして一人釣れたらラッキー! 」的なスピリッツで、のべつまくなしに送りまくってるんですかね? あるいは、ソレっぽい職業のヒトだけをFacebookに記載されている「勤務先」欄からピックアップしているのかしら? だって、銀行員とかがこのメールを見てもまったく響かないじゃないですか!? 


いずれにしろ、ある特定の人種にはリアリティ満載の、悪質このうえない日進月歩に狡猾な詐欺の手口なのであった。まあ、冒頭に紹介した “偽の仕事依頼メール” が「偽」ではなく、ただ単に先方が私の受け答えを読んで「やっぱこのヒトにお願いするのはやめよっと」ってことになっただけ、そのジャッジとフィッシング詐欺メール攻撃開始のタイミングが偶然重なっただけ……という可能性も0%ではないのだけれど、一人でも多くの善良な市民がこのコラムを読んで、私と同じ誤ちを犯さないよう、心から願っている。

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