今回の東京オリンピックのハイライトのひとつは、女子ソフトボールの13年ぶり2度目の金メダル獲得でしょう。
五輪連覇。この偉業を語るときに、前回ソフトボールが行われた2008年北京オリンピックでの選手たちの行動を伝えなければいけません。
あの時、大会前に選手全員が感謝の手紙を書きました。誰を喜ばせたいのか、誰にどんな感謝を伝えたいのかを明確にし、お世話になった10人への感謝の手紙を書いて、それを読みに行きました。すでに亡くなった人にはお墓に読みに行ったのです。
結果、感謝の心でチームはひとつになり、世界大会4連覇を目指していた王者アメリカを破り、悲願の金メダルを獲得しました。今回もこの気持ちを変えず、臨んだ結果の五輪連覇になりました。
また、感謝の心が良い結果を生んだ出来事として、浅田真央選手の例もあります。
女子フィギュアスケートの浅田真央選手は、2014年のソチオリンピックで、初日のショートプログラムでトリプルアクセルを失敗(転倒)するなど、普段ではありえないミスも連発。彼女のフィギュアスケート人生の中でももっとも低い順位である16位と大きく出遅れました。
しかし、翌日のフリーで、女子史上初となる全6種類、計8度の3回転ジャンプをすべて成功させ、これまでの自己最高スコアだった136・33点を上回る142・71点をマーク。16位から一気に6位へ順位を上げて入賞を果たしました。
わずか1日でのこの激変の秘密も感謝でした。実は、ひとつひとつのジャンプにお世話になった人の名前をつけました。このジャンプはお母さん、このジャンプは中学校の恩師、このジャンプは小学校のときに教えてもらった恩師、このジャンプはお姉ちゃんなどと名前をつけ、飛ぶたびに感謝したのです。
人に感謝することは、自分に感謝するとイコールです。女子ソフトボールチームも浅田真央選手も、感謝することで、最高の自己受容が起きたのです。