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ジャージ登校じゃダメですか?コロナ禍で広がる「制服不要論」 進学・進級を前に考えたい「高額で、洗いにくい制服」という問題

元日本テレビ解説委員で、現在は各メディアでコメンテーターを務める岸田雪子氏が、子育て周辺の話題を取り上げる新連載「岸田雪子のBloom Room(ブルームルーム)」。親子の笑顔の "つぼみ" を花開かせる小部屋です。今回は、"コロナ禍の学校の制服" について考えます。

 

こんにちは、岸田雪子です。先が見えないステイホーム中ではありますが、そろそろ進学や進級の準備もしなくちゃ…というこの時期。SNSへのこんな投稿に賛同の声が集まりました。

公立中学校、もう私服にしてほしい。春から中学生になる上の子の制服、一式で4万円弱。夏服は一式で2万円程。体操服1万円。
成長期だからずっと同じサイズの服は着れないし、ブレザーは毎日は洗えないし乾燥機かけられないし。ユニクロ服を毎日洗濯して季節毎に買い替える方が余程安くて清潔で合理的。

— とこちゃん (@freelifeToko) January 13, 2021

確かに、成長期で長くは着られない制服への、高額投入という負担。さらにコロナ禍では衣類へのウィルスの付着を避けるために、洗濯して清潔を保ちたいと思っても、制服は毎日洗うわけにもいきません。「私服を認めて」「毎日、ジャージで登校させて欲しい」という親御さんの声があがるのも、当然です。そもそも、なんのために制服は存在するのでしょうか?

 

■「制服を着るべし」という法律も、国の指針も存在しない

制服の始まりは、明治維新後、全国に学校が創設された頃とされています。「経済的格差をなくす」「学生としての意識を高める」などの意義から広がり、現代では「おしゃれな制服を着たい」と学校選びの基準の1つにもなるほど、ファッション性も重視されるようになっていますね。

共通して言えることは、制服を設けるかどうかは、それぞれの学校の判断、地域の判断に任されている、ということです。例えば「コロナ禍では洗濯しやすいジャージでの登校をOKにしよう」と校長先生と教育委員会が決定すれば、それは可能なのです。

 

■コロナ禍で「私服との選択制」を始めた県立高校も

実際、コロナ禍で「私服との選択制」に変えた公立学校もあります。例えば岐阜県立加納高校では、去年8月から私服での登校を認めています。
きっかけは「暑さ」でした。マスクをして、換気もしなければならないコロナ禍では、教室の中を涼しく保つことが難しく、体調不良の生徒も出たそうです。そこで学校は、生徒たちに私服を許可し、「衛生面や暑さもふまえて、勉強にふさわしい服装とは何か、自分で考えて」と呼びかけたのだといいます。

結果、真冬の現在でも、半分以上の生徒たちが私服で登校しているとのこと。私服が派手になるなどの変化もなく、保護者からも「ひんぱんに洗えて清潔」と好評だということです。

 

■どんな服を着る?子どもたちが考えるきっかけに

東京都内でも、自由な服装を取り入れている公立中学はあります。例えば世田谷区では、すべての区立中学校で、月に1回程度、「自由な服装で登校するカジュアルデー」を設けています。制服でも、私服でもOK。「生徒が自分で服を選ぶ」ことを通して、主体的な判断力や、多様性を尊重する気持ち、自己表現できる力を育てたい、というねらいです。区内の学校によっては、このコロナ禍は「カジュアルデー」を増やしたり、洗濯しやすいジャージでの登校を許可しているところもあるそうです。

先に触れたとおり、制服を導入するかどうかは、学校ごとの判断です。つまり、子どもたち自身、保護者の皆さんの考えも反映させて、変化させることは可能です。
たとえば生徒会で、そもそも制服は必要か?と自分たちで話し合うこともよい機会になるかもしれません。制服を導入するなら、どんな制服がよいと考えるか。あるいは、私服や選択制にするなら、どんなルールが必要か、必要ないのか。
少し時間はかかるかもしれませんが、このコロナ禍を「自分たちの学校生活は自分たちで作れる」と実感するきっかけにする価値はあるかもしれません。

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