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「一発屋」「コミックバンド」…と評されていたデビュー時のサザンオールスターズの“あの頃”を振り返ってみる

※画像はイメージです

どこぞのメディアで、著名な某音楽関係者が、まだ売れる前のサザンオールスターズについて語っていた。ちなみに、その記事はなぜか翌日に削除されてしまったのだけれど、

 とあるレコード会社のディレクター経由で、とある大手芸能事務所の敏腕で通っていたマネージャに音源を聴かせたら、なぜかサザンのことを気に入って、いつのまにやら『ザ・ベストテン』での生中継が決まって…。その敏腕マネージャーの凄さは、ロックを歌謡曲と同じ目線でサザンを売り出した点だと思う。

……みたいなことを回顧しているのが、おおよその内容であった。

さて。このサザンオールスターズ快進撃の幕開けとなった「ザ・ベストテン(TBS系)の生中継」が放送されたのは1978年の8月。当時は視聴率ナンバーワンであった同番組内の一企画「今週のスポットライト」で『勝手にシンドバッド』を披露。もはや“幻”と化している同記事によると、何語かわからない歌詞を早口でまくしたて、「僕らはただの目立ちたがり屋の芸人です!」と自己紹介する桑田の姿は衝撃的だった……らしい。

1978年とは現在から44年前──今年58歳になる私は中学2~3年生ぐらいで、ちょうど(すでに解散していた)ザ・ビートルズだとか、ディープ・パープルだとかQUEENだとかKISSだとか、あとベイ・シティ・ローラーズ(笑)とか……のロックに、うっすらと目覚めはじめた時期だった……と記憶する。私は残念ながら、前述した“伝説”の「今週のスポットライト」を(おそらく)観逃してしまったのだが、当時、毎週金曜日の19:30~20:00に放送されていたショートバラエティ番組『カックラキン大放送!!』(日本テレビ系)の“つなぎ的”なワンコーナーで突如登場し、やはり『勝手にシンドバッド』というタイトルの奇っ怪な曲を、明らかにバラエティのステージとは違った温度差で、朗々かつ淡々と唄いあげていたシーンは今でも鮮明に想い出すことができる。

「ロックを歌謡曲と同じ目線でサザンを売り出した点が凄い」との指摘はまさにそのとおりで、その斬新さがまだロックの「ロ」の字あたりでウロチョロしていた、いたって平均的でミーハーなゴメス少年(※もちろんのこと、中学生時代は「ゴメス」というペンネームは名乗ってはいなかった)を大いに戸惑わせたものである。

「日本語ロック」のはしりとくれば、一般的には細野晴臣・大瀧詠一・松本隆・鈴木茂らによって結成された『はっぴいえんど』が有名だが、私は最近ではもうスタンダードとなった「ロックを英語っぽく日本語で歌う手法」を、音楽界へと広く浸透させたのはサザンオールスターズだと思っている。小節内に可能なかぎりの文字数をブチ込み、タンキングを多用しながら、あえて「一度聴いただけでは、なにを言っているのかよくわからない」スタイルを前面に押し出す。さらにサザンオールスターズにいたっては、その「なにを言っているのかよくわからない」を逆手に取り、歌詞中に“エロワード”をも巧みに取り入れて……。こうした日本ロック界の潮流が劇的に変わった瞬間を目の当たりにできた私(ら世代)は、もしかすると……けっこうな幸せ者なのかもしれない。

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