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冬の名物列車、東北・三陸鉄道の「こたつ列車」

郷土料理にイベントも! こたつ列車に乗ろう

東北の冬の名物列車と言えば、津軽鉄道の「ストーブ列車」を誰もが挙げるが、数年前に、それに勝るとも劣らぬイベント列車が登場した。三陸鉄道の「こたつ列車」だ。「こたつ列車」が走っているのは、三陸鉄道北リアス線(久慈~宮古)である。一般にはなじみが薄い地域なので、アクセス方法を記しておこう。

■久慈へのアクセス

東北新幹線・八戸でJR八戸線に乗り換えて終点の久慈まで1時間50分。各駅停車のみで、1日9往復。「うみねこ号」の愛称を持つリクライニングシートの特別車両で向かう。久慈での乗り継ぎ時間は約1時間と余裕たっぷり。特別車両といっても追加料金不要で運賃のみで乗れるお得な列車だ。八戸発10:16なので、東京発6:56の「はやて」に接続しているが、冬季は雪などの影響による遅延もありうるので無理をしないで現地で一泊した方がいいと思う。

■宮古へのアクセス

盛岡からJR山田線の快速列車「リアス」で約2時間だが、宮古発の「こたつ列車」まで待ち時間が2時間もある。花巻からJR釜石線と山田線を直通する各駅停車だと約4時間。10分の待ち合わせ時間はぎりぎりだ。「こたつ列車」で食べられる特製弁当の予約は久慈発のみであることも合わせて考えると、やはり久慈から乗るほうがオススメだ。

■久慈発の「こたつ列車」に乗ってみる

「こたつ列車」の予約は、三陸鉄道のホームページ記載の電話番号にて受け付け。2013年12月1日(日)から2014年3月30日(日)の土日祝日のみで、お弁当の予約も同時にできる。「うに丼」(1,300円)と「うにあわび弁当」(1,500円)、「ほたて弁当」(1,050円)の3種類がある。

ひとつのこたつを4人で使い、掘りごたつとなっている。少々窮屈なので相席を避けたい人はメンバーを4人集める必要がある。

久慈から宮古までの運賃は1,800円、こたつ列車の指定券は300円なので、合わせて2,100円。久慈駅乗車前には、「こはく汁」サービス、車内では「いかせんべい」(年末年始は「みかん」)とストーブで焼いた「生せんべい」が配布されるから、300円は破格の値段とも言える。

■「こたつ列車」の車内

「こたつ列車」はディーゼルカー2両編成だが、先頭の青い車両のみがこたつ付きのお座敷車両だ。後ろの車両は普通の座席車で地元の利用客向け。本数が少ないローカル線ならではの編成だ。

車両中央の通路を挟んでこたつがずらりと並んでいる。履物は、こたつ下にある下駄箱に入れる。通路は車内販売のワゴンが度々通るので、靴を脱ぎっぱなしにするのは厳禁だ。ワゴンは飲食物やお土産、三陸鉄道グッズを販売している。

面白いのは「三鉄赤字せんべい」。赤字を食って、儲かる鉄道にしようとの願いが込められているようだ。通信販売もしているので、少しでも買って三陸鉄道の売り上げ増加に貢献してあげよう。

■絶景ポイントでサービス停車

三陸鉄道は1984年の開業と比較的新しい鉄道なので、ローカル線といっても設備は近代的で、新幹線のように長いトンネルも多い。三陸特有のリアス式海岸の絶景をとことん眺められるわけではなく、トンネルとトンネルの間で垣間見るといった感じである。

それゆえ、絶景を見逃さないようにと、絶景ポイントとなる海の見える鉄橋上での徐行、一旦停車が2回ある。親切なことに車内でのアナウンスもあるので見逃すことはあるまい。野田玉川と堀内間の安家川橋梁および堀内と白井海岸間にある大沢橋梁だが、三陸鉄道のポスターなどで有名な場所である。

■三陸伝統の風習で「おもてなし」

列車には照明があるのだが、あるトンネルに入ったら、照明が消えて車内は真っ暗になってしまった。何故かなと思っていたら、車内後ろからグロテスクな顔をした怪物が2匹現れて各こたつを回り始めた。「なまけものはおらんか」とわめきながら乗客にちょっかいを出す。子供は怖がって逃げようとするが、すぐに捕まえて脅す。化け物は「なもみ」と言って、秋田の「なまはげ」と似たようなものだ。三陸沿岸の化け物「なもみ」登場は小正月の伝統の風習だそうだ。

もちろん人間がお面のようなものをかぶって演じているのだが、地元の観光協会の男性と女性がペアが、この役割を担っている。一通り車内を回ったあと、お面を取って人間の顔になり、乗客を安心させた上で、観光案内を始めた。

その後、「なもみ」は各こたつを回って、「乗車記念カード」を配りながら、写真を撮ったり撮られたりとポーズを取り愛嬌を振りまいていた。

■車窓で発見した意外なもの

車窓で面白いものがひとつあった。田野畑を出てすぐのところにある鉄橋から見えた海岸付近にある水門だ。なぜか水門の上に三陸鉄道の列車が乗っているのだ! よく見ると、それは列車そのものではなく、列車の形をした水門上の建物なのだが、ちょっとした名物のようである。

かくして、久慈から1時間半で宮古着。あっという間の旅だった。名残惜しげに「なもみ」2匹がポーズを取って挨拶してくれ、何人もの記念写真に加わっていた。30分後、列車は久慈目指して折り返していく。また乗ってみたいと思う楽しい列車であった。

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野田 隆 Facebookページ
 
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