元日本テレビニュースキャスターで、現在は多くのメディアでコメンテーターを務める岸田雪子氏が、いじめ、虐待、子育て、介護など、親子間コミュニケーションを始めとする、身近な悩みや課題を取り上げる新連載「岸田雪子のBloom Room(ブルームルーム)」。親子の笑顔の“つぼみ”を花開かせる小部屋です。今回は、コロナ禍の“子どものストレス”について考えてみたいと思います。
「虐待 1歩手前」
「自分のイライラが止められず 子どもの心を傷つけてしまうのが辛い」
「泣く、嫌がる、手が出る・・うちの子、変わっちゃった」
保護者の皆さんから、切実なSOSが届いたのは、国立成育医療研究センターが小中高生や保護者およそ4900人に行ったアンケート調査です。4月30日から5月5日の緊急事態宣言下に実施された調査では、保護者のストレスが特に高かったことがわかります。
「こどもとの関わり」を乳幼児の保護者1500人余りに尋ねると、「感情的に怒鳴ってしまう」と答えた方が多く、「罵った・脅した」「叩いた」頻度が増えていることもわかりました。
■なんでお母さんは 僕が好きなのに怒るの?
調査では、子どもたちにも気持ちを聞いています。
「学校は行きたいけれど、体を守りたい気持ちが勝ちます」
「自由がほしい」
「今、コロナに負けていますか。それとも勝っていますか」
見えないウィルスへの不安で胸がいっぱいなのは、子どもたちも同じです。
「お母さんは 会社で無理をしていないかな。」
「なんでお母さんは 僕が好きなのに 怒るの?」
大好きなお母さんを想う、小さなココロの内が語られています。
子どもは自分のストレスに気付きにくく、大人のようなストレス発散方法も知りません。自分でも気づかないうちに、ココロの不調をためこんでしまいやすいのです。
「すぐにイライラする」「最近、集中できない」という小学生以上のお子さんが3割~4割、「自分の体を傷つけたり、家族やペットに暴力をふるうことがある」と答えたお子さんも1割~2割いました。
■子どもの話を、ただ 聴いてあげてください
長かった休校から、徐々に学校が再開しています。親御さんとして少しホッとできるかもしれませんが、一方で子どもたちが感染しないか、休校中の勉強の遅れは取り戻せるのかなど、心配は尽きないことでしょう。
子どもたちも、以前とは異なる学校の風景に戸惑っています。暑い中でのマスク着用、おしゃべり禁止、友だちとは距離を取らなければなりません。
そんなストレスを和らげるため、今、子どもたちにしてほしい、たった1つのこと。それは、「ただ話を聴くこと」です。「ただ」というところが大切です。どんな言葉であっても否定せずに、受け止めるという心構えで、耳を傾けてみてください。「そう思ったんだね」「いやだったんだね」と、まず共感することで、子どもたちのココロはずいぶん軽くなります。「話してくれて、ありがとう」とも是非伝えてあげてください。
親御さんのストレスケアにも、「聞いてもらうこと」は大切です。友だちや親せき、家族に相談できる方は、電話やLINEでもいいので、話を聴いてもらってください。お住まいの近くの「子ども家庭支援センター」でも、気軽な相談を受け付けています。
ご自分の好きなこと、リラックスできることを生活に取り入れて意識的にストレスを緩めつつ、子どもたちの見えにくい小さなストレスにも、寄り添ってあげてください。