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借金取りに追われ続けた母と息子 紆余曲折の果てにたどり着いた最高の一杯

漫画家の魚乃目 三太(@SantaUonome)さんによる『しあわせゴハン』シリーズ。

食べ物をテーマにさまざまな形の愛を描き、優しく温かいストーリーが多くの人の心を打っています。

今回のテーマは『そば』。

古びたアパートの一室を尋ねる2人の男。ドアには、多くの貼り紙。……そう、この2人は金貸し屋でした。取り立てにやってきた彼らに、ただひたすら頭を下げる女性。激しい叱咤に怯える女性ーー母を守るように、リコーダーを手にした少年が立ちはだかります。

 

■しあわせゴハン『そば』

雨の日も、雪の日も。少年は働き続けます。母が体調を崩しても、そして時を経て…彼女が亡くなっても。少年の頃の顔のまま、青年は努力を止めません。

母の遺影に手を合わせながら、これからも強く在ることを誓います。

遂に青年は返済を終えました。長かった返済期間。たったひとりで向き合ってきた青年を側で努力を見てきた金貸し屋2人は胸打たれ、思わず涙を流します。

青年はそんな2人に、深く深く頭を下げ続けるのでした。

今までは出来なかった贅沢な食事を前に、青年の胸には色々な想いがこみ上げてきます。

返済を見事終えた実感がいよいよ湧いてきたのでしょうか、青年はボロボロと涙を流し始めました。

店主は笑顔のまま、店を後にする彼の姿を見ています。青年が座っていた席には…ただ、きれいに平らげられたそばの器だけがあったのでした。

魚乃目さんのセリフなしの表情でみせる表現力にグッときます。

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