日本テレビ新人アナウンサーの佐藤梨那さん
2017年3月末にFacebookが発表した360度ライブ配信機能は、特殊なカメラを用いることによって誰でも簡単に360度ライブ動画を配信できるというもの。
9月5~17日にわたり日本テレビ系で日本戦全10試合を生中継した『ワールドグランドチャンピオンズカップ 2017(以下:グラチャンバレー2017)』では、その最新機能を活用する画期的な企画「グラチャンバレー2017 Facebook navi 360度ライブ配信」が行われた。
360度カメラを装着したスマートフォンを自ら持って、会場内を駆け回り、斬新な映像とともにリポートしてくれたのは、日本テレビの佐藤梨那アナウンサー。今年入社の新人ながら、世界でもほとんど例のない360度ライブ配信を先駆けて体験した佐藤アナウンサーに、360度ライブ配信の魅力と可能性について、あらためて聞いた。
アリーナからのライブ配信を行った
■最初は不安だらけ。でも、本番が始まると度胸がついて(笑)
何しろ、世界でもほとんど例のない360度ライブ配信。撮影&リポートを任された佐藤アナウンサーも、さぞかし戸惑いや緊張があったのでは……?
「まずは、360度の映像に驚きました。普通のテレビカメラでは同時に画面に映るはずのないものが、どちらも映っているんですよね。
事前に一度だけ、日本テレビのスポーツ局内でテストをしましたが、そのときは映像をどう見せるかよりも、10~15分間何を話したらよいのか考えるだけで頭がいっぱい。正直なところ、不安だらけでした(笑)。
でも、実際に本番に臨むと、初めのうちは360度カメラを装着した棒を持って、ひとりで皆さんのいらっしゃる会場内を動き回る心細さこそあったものの、だんだん度胸もついてきて(笑)。2日目、3日目には、見ている方が酔わないようにしっかりと360度カメラを固定しつつ、面白い映像を撮るために体育館内をかなり歩き回りました。話す方もお伝えしなければならない情報が多く、特に困ることはありませんでしたね」
大会前日には最新カメラを用いて『バレットタイム動画』の撮影も行った
■地上波と違って、相互にコミュニケーションがとれる
360度の映像に加え、自身も学生時代にバレーボール部に所属していた佐藤アナウンサーのリポートは好評を博し、5日に撮影されたライブ動画は41万回、6日の2日目に撮影された動画は27万回に達するなど、大きな反響を集めた。
「そのほかにも、視聴者の方からいただいたコメントに対して360度ライブ配信中に言葉を返すことができたり、私が何か言ったときに視聴者の方が『いいね!』を押してくださったり……。『いいね!』をたくさん押していただくと、それが画面上で風船のようにふわっと広がって飛んでいくんです。その光景を見るのも、とてもうれしくて。相互にコミュニケーションがとれるのも、ライブ配信の魅力だと感じました」
配信時のネームタグでも「元慶応大学バレーボール部」としっかり紹介
■見たいところを自由に選べるのが、360度ライブ配信ならでは
佐藤アナウンサーは、いつもの放送とは異なる、ライブ配信だからこその醍醐味を体感したよう。なかでも、特に目玉だったのが、360度カメラによる映像。その点については?
「『こちらです!』と言って、私が手を動かすと、画面上では某コミックのワンシーンみたいにビヨーンと手が伸びて見えるんです(笑)。また、顔を近付けたときには、魚眼レンズのような効果が得られたり……。バレーボールのパスを映しても、普通のテレビカメラの映像と違って、ボールだけがあちらこちらに移動する不思議な絵づくりができました。
元バレーボール全日本女子代表の大山加奈さんにご出演いただいた際には、紹介する前に大山さんがしゃがんでくださっていたのですが、何しろ360度カメラなので、その姿がしっかり捉えられてしまっていました(笑)。そんなちょっとしたハプニングも含めて、私自身もとても楽しめましたし、面白い映像を皆さまにお届けできたのではないでしょうか」
9月5日(火)360度ライブ初日は40万再生を越え、大きな話題に
映像そのものがユニークなばかりでなく、指で画面に触れたり、スマートフォンの向きを変えたりすることによって、360度すべての方向に視点を変えられるのが、360度ライブ配信機能の特長だ。それを活かして、新たなコンテンツへの取り組みも考えられる。
「360度ライブ配信を始めた当初は、私も『視聴者の方が見たいところをきちんと撮れているかな』などと不安を抱いていましたが、よく考えたら、皆さんが見たいところをご自身で自由に選べる機能なんですよね(笑)。
たくさんの情報があるけれど、大掛かりな取材チームが入れないような場所……例えば、(番組の企画で撮影許可が出たら)世界遺産への潜入取材などで使ってみたら、面白いかもしれません。360度カメラを持って、ゆっくり歩いていけば、天井の絵から床の装飾まで、視聴者の皆さんは見たいところをすべて目にすることができそうです」
佐藤アナと共に斬新な映像をリポートした360度カメラ
■3年後の東京オリンピックまで突っ走りたい
「グラチャンバレー2017 Facebook navi 360度ライブ配信」は視聴者から拍手喝采をもって迎えられ、入社からわずか半年ばかりにもかかわらず、佐藤アナウンサーは見事に大任を果たし終えた。今後の活躍にもますます期待がかかるところだが、目指すのはどんなアナウンサーなのだろう?
「そうですね……。今、『Going!Sports&News』のキャスターを担当し、さまざまなスポーツの現場に足を運ばせてもらっていますから、より深くスポーツの世界にかかわっていきたいですね。
また、10月からは『バズリズム02』のコーナーの進行に携わらせていただいていることもあり、音楽番組にもいっそう力を入れて取り組んでいければと考えています。音楽も大好きなんです。
とにかく、まずは3年後の東京オリンピックを目標に、いろいろなことにチャレンジしながら突っ走っていきます。あ! 今気が付いたんですけど、東京オリンピックの開会式の様子を360度ライブ配信するのはどうでしょう?(笑)」
ひょっとしたら、3年後の東京オリンピックの開会式でも、360度カメラを片手に会場内を駆け回る佐藤梨那アナウンサーの姿が見られるかもしれない。
佐藤梨那
日本テレビ2017年度入社の新人アナウンサー。慶應義塾大学法学部卒。1年目から『Going Sports&News』の日曜日キャスターとして異例の抜擢。更に、2017年10月からは『バズリズム02』のコーナー進行も務める。小学校のころからバレーボールに打ち込み、大学時代は体育会女子バレーボール部に所属していた、体育会系女子アナウンサー。