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株式会社金冠堂が発売している「キンカン」は、虫さされやかゆみ、肩こりに効果を発揮する塗り薬。CMソングなどでその名を知る方も多いのではないだろうか。今回はそんな「キンカン」の誕生から今日に至るまでの秘話を紹介していく。
■研究所からスタートした金冠堂の名前の由来とは?
「キンカン」誕生について語るには、株式会社金冠堂の前身である「金冠堂研究所」の設立にまで遡らなければならない。
後に株式会社金冠堂の創業者となる山崎栄二は、海兵団に衛生兵として入団し、看護や薬理を学んだことや、姉が大火傷で子どもを亡くした過去から、火傷の治療薬開発を志す。
山崎は1923年12月、朝鮮半島の京城に「金冠堂研究所」を設立。治療薬の研究・開発に乗り出した。ちなみに、商品名にもなる“金冠”という名前は、当時朝鮮の慶州で発掘された、古代王族の金の王冠に由来しているそうだ。
■自分の腕に熱湯を!? 文字通り体を張った実演販売
野山で生薬原料を採集し、研究に明け暮れる日々を送ること数年。1926年5月に最初期の「キンカン」が完成した。
販売開始当初はあまり売れていなかったという「キンカン」。だが、1931年の東京進出後に各地で開催した講演会でのあるパフォーマンスが商機を呼び込む。なんと、山崎は自らの腕に煮えたぎった湯を注ぎ、そこに「キンカン」を塗布するという実演販売を展開したのだ。
この絶大なる自信に裏打ちされた行動が、当時の文部科学省成人教育課に注目されることとなり、全国婦人会や女子青年団での販売許可を得ることに成功した。さらに、1941年には実験でその有効性を証明したことから、軍用の医薬品として採用されることが決定。空襲時の火災によって負った火傷や外傷の救急薬として配備され、全国的に広く知られるようになった。
■ヒットメーカーによって生み出されたCMソングの秘密
第2次世界大戦の終結後は火傷のみならず、現在も効能・効果として記載されている虫さされ、かゆみ、肩こりなどに作用する万能の治療薬としてその地位を確立させた「キンカン」。
さらなる知名度の向上に役立ったのが、CMソングの存在だ。作詞を担当した藤浦洸と、作曲を担当した服部正は当時のヒットメーカーで、2代目社長である山崎寅の大学の先輩であるという縁から制作が実現したのだとか。
歴史ある「キンカン」を守りながらも、時代に合わせた製品を生み出している金冠堂。今年の3月には、シックなパッケージの「キンカン ノアール」が登場したことで話題となった。今後も予想もつかないような新製品が誕生することだろう。