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最近、「◯◯記念日」が増えているワケ

実は最近、記念日が増えている。バレンタインデー、ホワイトデー、孫の日、肉の日など例を挙げればきりがないが、ここ最近、今日は「◯◯の日」というニュースや話を聞くことが多くなったと感じている人も多いのではないだろうか。最近はこんなニュースがあった。

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その中には、それまで知らなかった情報も少なくない。企業や団体が自分たちで記念日を設けるだけでなく、実は10万円で記念日を認定・登録する日本記念日協会という団体もある。

■企業や業界が記念日を設ける理由

企業や業界が記念日を増やす理由には大きく2つある。1つ目は純粋に何かの記念を祝いための記念日だ。そしてもう1つは、ビジネスチャンスの拡大を目的にしたものだ。会社設立などの純粋な記念日はさておき、今回は2つ目のビジネスチャンス拡大のための記念日が生まれる背景について書きたい。

■毎年話題になる「土用の丑の日」も!?

皆さんご存知、土用の丑の日に鰻を食べるという習慣。これは江戸時代に平賀源内が考えたプロモーションだ。夏場に売れ行きが悪くなるという鰻屋の相談を受けて、平賀源内が「土用の丑の日=鰻を食べる日」という話題を仕掛け、鰻が売れるようになったのだ。これは記念日ではない。ただ、その“ある日”になにか意味を持たせることによって、ビジネスチャンスの拡大を狙うという意味では類似のプロモーションと言えるだろう。

そして昨今増えてきた企業や業界が設ける記念日。企業や業界が記念日を設けることによって、その記念日を中心に販売促進活動が強化される。テレビをはじめとするメディアも、記念日的なものは視聴者への情報価値があると考えるので、取り上げようとする。“記念日”というのは、ビジネスチャンス拡大の”きっかけ”作りの有効な手段の一つなのだ。

■「記念日」に似たプロモーション「検定」

記念日を活用したプロモーションと類似のものとして“検定”も挙げられる。これも商品や市場を盛り上げたい企業や団体が検定協会を立ち上げ、その存在を広めていくというものだ。検定ビジネスの場合、受験料などが入ってくるため、単にその商品や業界のPRをするだけでなく、地道に検定料収入が得られるというメリットが協会にある。

ただ、ビジネスの目的を考えると検定も検定収入によって売上や利益を得るだけでなく、記念日と同様、それ自体を活用して関連商品の売り上げを促進したり、業界全体を盛り上げるための手段という側面が大きいのだ。

■「お墨付き」という重要性

記念日も検定も、一企業や一個人で実施しても、公平性や公共性という面で打ち出しが弱い面がある。消費者だけでなく、メディアに取り上げてもらうという意味でも、それらの要素はできるだけ高いほうが良いのがマーケティング業界のセオリーだ。そのため、第三者(もしくは第三者的な団体)が立ち上げる協会(一般社団法人であることが多い)に音頭をとってもらい“お墨付き”がついているようなイメージを持たせるほうが望ましいのだ。

現在の日本では、なかなかモノが売れない時代が続いている。その中において、記念日を定めるというプロモーションは、消費者だけでなくメディアの注目を集め、商品を売りやすくする効果をもたらす。記念日が増えているのは、単に記念日を作る人や企業の自己満足なのではなく、ビジネス面でのメリットの大きさゆえなのだ。

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