時事

今日からおまえは富士山だ!︎なぜ時代は「松岡修造」を求めるのか


2014年CM起用ランキング1位、新入社員が選ぶ理想の上司位と、飛ぶ鳥を落とす勢いの松岡修造氏。日めくりカレンダーやLINEスタンンプも大ヒットし、その人気は不動のものとなっている。

日本男子プロテニスプレイヤーとして65年ぶりにウィンブルドンに出場し、ベスト8入りを果たした偉業は、いまだ多くの人の記憶に残っている。とはい え、修造氏を支持している層は、当時の活躍を知らない10代20代の若者も多い。そんな自身の人気に対して、「僕が変わったのではなく、周りが変わっただ け」と修造氏はコメントしている。

なぜ今、時代は「松岡修造」を求めるのか。修造氏の魅力にいち早く目をつけ、「松岡修造の人生を強く生きる83の言葉」、「人生を考える 修造思考!」、「解くだけで人生が変わる! 修造ドリル」を手がけてきたアスコムの取締役編集部長、柿内尚文氏にお話を伺った。

■入口は面白く、出口は深く

2011年6月に出版した「松岡修造の人生を強く生きる83の言葉」は現在26刷18万部のベストセラーとなり、おかげさまで長く、幅広い層の方に読んでもらっています。

出版に至った経緯ですが、「(2006年から)修造さんのオフィシャルサイトで更新されている応援メッセージ動画が面白い。気合を入れるために朝に観ているというアスリートや芸能人が結構いるらしい」と仕事関係者から伝え聞いたのがきっかけです。実際に観てみたら、これがメチャクチャ面白かった。それで 修造さんが過去に著した本を読んだのですが、書かれている内容が奥深く、心に刺さる内容でした。その面白さと奥深さを組み合わせたらさらに面白い本ができるのではないかと思ったのがきっかけです。

これはあくまで私の意見ですが、単に面白いというだけでは、これほどのヒットにはならなかったと思います。入口は面白くて、出口に深さがある。それが修造さんの魅力です。なぜこの言葉でなくてはならないのか、というバックボーンがしっかりしているので、多くの方の心に届くんだと思います。

■感情と理屈のどちらにも訴えかけられる言葉の魅力

修造さんの言葉が魅力的で強いのは、自分で悩んで、努力して、乗り越えてきたことを言葉にしているからだと思います。

修造さんの言葉の魅力はなんといっても「右脳と左脳の両方に訴えかけてく」ことじゃないでしょうか。右脳は感情、左脳は理屈です。つまり「感情と理屈のどちらにも訴えかけてくる」ということです。

これは私たちが本を作る際にいつも気をつけていることでもありますが、理屈で分かっただけでは人はなかなか行動を起こせませんし、その逆もまた然りです。感情と理屈。この両方に訴えられたときに、人は「腑に落ちる」ことができ、行動を起こしたくなったり、それを人に伝えたくなるのだと思います。

そう考えると修造さんは、編集者が求める理想の本つくりを、自然と実践されている「編集の鏡」のような方ですね。だからこれだけ多くの方に支持されるんだと思います。

■トイレも「本気」で行く

アスコムで刊行している修造さんの3冊の本の中には、修造さんの「本気」がぎっしり詰まっています。

たとえば、トイレに行くときも修造さんは本気です。この話は「修造思考!」の中で紹介されているんですが、トイレには2つの役割があり、1つは身 体から要らないものを吐き出す、トイレ本来の役割。もう1つは誰にも邪魔されずに集中できる空間としての役割だそうです。身体から要らないものを出し切ることが特に大切で、トイレで出し切ったあとは便器に向かって、そして要らないものを吐き出してくれた自分の身体に感謝するそうです。なんとなくトイレに行ったりしないんですね。

修造さんは「今ここ」という生き方を徹底的に貫いています。本の中にも「今ここ、修造」という言葉を載せています。本気であること、元気であることを味わい尽くしながら、とことん生き尽くす。「生きていることを味わい尽くす」という生き方をされているんだと思います。

私自身、修造さんの言葉を思い出すことがよくあります。「今、自分は『なんとなくフィニッシュ』していないか?」、「ランチでスマホを見ながら適当に食べていないか」などなど。日常の中で修造さんの言葉を思い出し、ハッと気づかされることがしょっちゅうあります。

読者からの反響もすごいです!「好きな人がいたんですが、この本を読んで勇気をもらい、告白したらうまくいきました!」とか「就活で悩んでいたんですが、この本で本気になり、内定を取りました!」といった声がたくさん届いています。それだけ人の背中を本気で押してあげる力が修造さんの言葉にはあるのでしょう。

■ネガティブ言葉にポジティブ言葉をつける「ヨッシャ、面倒くせぇ!」精神

修造さんの言葉は、ネガティブな感情をポジティブに切り替えるサポートをしてくれます。

「崖っぷちありがとう」、「よっしゃ、面倒くせぇ!」など、ネガティブな言葉に、あえてポジティブな言葉を付け足す表現がまさにそれです。きつい状況というのは、考え方によっては自分の糧になる、自分の成長につながる。そういうメッセージが込められた言葉がたくさんあるんです。

意外に思う人も多いと思いますが、修造さんは、もともと消極的で怠け者だったと著書の中で語っています。それを自身の努力で乗り越えてきたそうです。

人間、急に変わるというのはなかなか難しいですが、ちょっと自分がマイナスの方向へいってしまっているというときに修造さんの本を読み返してもらえると、その状況に自ら気づき、「これじゃいけない」と思えたりするんですね。そうやって、繰り返し、繰り返し訓練することで、だんだんプラス思考に近づけるのだと思います。

一説によると、もともと人間はマイナス思考に傾きがちなそうなので、訓練しないとポジティブにはなりにくいそうです。少しでもポジティブになりたい、変わりたいという気持ちがある方に、ぜひこの3冊を読んでいただきたいです。そして修造さんの言葉の力を感じてほしいですね。 

読めば元気に!悩み多きビジネスパーソンに効く修造語録

・崖っぷちありがとう!最高だ!
・悩みん坊、万歳!
・勘違いを特技にするんだ!

(「松岡修造の人生を強く生きる83の言葉」より抜粋) 

■取材・文・写真=山葵夕子
参照
・松岡修造の人生を強く生きる83の言葉/松岡修造(株式会社アスコム)
・人生を変える修造思考!/松岡修造(株式会社アスコム)
・修造ドリル/松岡修造(株式会社アスコム)

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