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老舗包丁店に学ぶ! 包丁のお手入れ術~選び方&保管編~

使えば使うほど味が出る道具を持つことは男の憧れだ。ただ、料理道具が味のある逸品となるか、使い物にならないなまくらになるか、道具を愛する主の器量が試される。

料理道具といえば真っ先に思い浮かぶのが包丁だろう。だが、包丁の選び方、保管方法といった正しいメンテナンス方法を知っている人は少数派かもしれない。包丁の手入れを怠ればトマトがつぶれる、玉ねぎを切れば涙が止まらなくなるなど、料理の味と効率をガクンと下げることになってしまう。逆に言えば、メンテナンスを完璧に維持できれば、料理のクオリティも約束されるといっても過言ではない。今回は老舗包丁専門店「日本橋木屋」の石田さんに包丁の手入れのコツを教えてもらった。

■選び方と材質 ステンレスか鋼か

肉食文化が広めた「三徳包丁」
日本で一般的に売られている包丁には大きく分けて和包丁と洋包丁の2つがあります。和包丁は片刃、洋包丁は両面に刃がついた諸刃(もろは)が基本。このような違いが生まれたのは魚(日本)と肉(欧米)という食文化をそれぞれ極めた結果です。

また、包丁にはさらに細かく「菜切り包丁」「出刃包丁」「ぺティナイフ」から「鱧用」「ウナギ用」といった特殊な包丁まであります。現在一般的によく出回っているのは「鎌形」。「三徳包丁」ともいわれる日本独自の諸刃包丁で、明治以降に広まったの肉食文化に合わせ、肉にも魚にも野菜にも使いやすい “3つの徳” がある包丁として一躍広まったようです。

包丁の材質にもこだわるべし
包丁の素材もいろいろあります。店頭で見かけるのは主に「ステンレス」と「鋼(ハガネ)」で、セラミックなどさらに性能を高めた素材のものも数多く並んでいます。入門者にも扱いやすい点で人気なのはステンレス、錆びが出にくいので手入れが楽です。

切れ味の差はあるか
鋼の包丁はお料理好きに人気ですが手入れすることが前提の素材。買った直後からしばらくの間サビができるので、適切な手入れをして安定させる必要があります。

切れ味の寿命(持続性)に差が出ますが、切れ味自体の差はありません。きちんと手入れをしてやれば変わりません。入門者向けから専門職向けまで、その人に合った包丁をきちんと選ぶ必要があります。種類や材質を踏まえて、自分にぴったりの包丁を見つけましょう。

■保管のコツ コルクを使えば蘇る

刃の表面は見えないサビで覆われている
包丁はしっかりと水分を切って、立てて保管するのが常識です。寝かせたり逆にして置いておくと、柄の内部の水分が逃げず、なかご(中の金属)が錆びて柄が取れやすくなります。刃の金属表面は目には見えない良いサビに覆われているのに対し、柄の中は金属表面そのままのため繊細なのです。

出番の少ない包丁のための保管方法
刺身包丁や出刃包丁など、特に和包丁や錆びやすいのでよく乾燥してからしまうことが大切です。水ですすいだら全体を乾拭きし、半日以上風通しのよい場所で陰干し(日向は厳禁)し、油(できれば専用の手入れ油)を薄めに塗り、新聞紙にくるんで収納します。新聞紙はインクがサビ止めになるのでおすすめです。

▲まず半分折りにした新聞紙の左1/3くらいの線上に包丁を置く。柄の側の新聞紙を折り上げて、残った面をくるくると巻きつけ、先端部分を折り返して出来上がり

万が一サビがついてしまったら
ワインのコルク栓(または市販のサビ取り剤)と粉末クレンザーを使ってください。サビや汚れのついた包丁をまた板の上にピタッと置き、包丁を水で濡らして粉末クレンザーを多めにかけて、コルク栓で表面がきれいになるまで、しっかりこすります。包丁の「平」(ひら/表刀身の切り刃でないたいらな部位)の部分は砥石で擦ってはいけませんが、この方法できれいにできます。両面がきれいになったら水洗いし、よく乾拭きを。なお同じコルクを何度も使えます。

(執筆:毎田 祥子)

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