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塩糀に続く次なるトレンドは「甘糀」?

塩糀(しおこうじ)につづく食のトレンドとして注目を集めている「甘糀(あまこうじ)」。甘酒の素として知られる甘糀は、砂糖の代わりに料理にやお菓子に使用することで、カロリーを抑えることができます。さらに糀ならではの必須アミノ酸やビタミンを豊富に含み、腸内の環境を整えてくれる酵素が摂取できる健康・美容効果も魅力です。そんな甘糀をおいしく、手軽に取り入れる方法をご紹介します。

■甘糀ってそもそも何?

甘酒の素として使用される甘糀は、お米に糀をまぜて糖化発酵させることで生まれます。甘酒と同様のアミノ酸やビタミンB1などの栄養群、そして糀がもつ酵素が摂取できる食品です。

甘糀は、甘酒の材料として単品で売られていたり、お米と糀があれば自宅で作ることもできます。砂糖の代わりに甘みをくわえる調味料として使えるため、甘酒以外にも用途は広がりますまた甘糀を含んだ醤油が販売されていたりと、甘糀に着目した商品も続々と発売されているようです。

■甘糀をジャムの代わりにパンに塗るとおいしい

一人暮らしの人や、忙しさのなかで料理をする暇がないという人でも、甘糀は簡単に食事に取り入れることができます。たとえば、トーストしたパンやクラッカーにジャムの代わりに塗って食べるのもおすすめ。フードレボリューショナリストのシダ・ヨシヒコ氏は、この食べ方に注目し「甘糀ジャム」のある食生活を推奨しています。

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柴海農園が販売している甘糀ジャム。白米ではなく玄米を使用しているのが特徴(写真提供:柴海農園)

この甘糀ジャムは、白米ではなく玄米を原料として糀の力で甘さを引き出しているのが特長。玄米の風味をベースに、チョコレートやレモンバターをくわえたバリエーションもラインナップされています。

販売しているのは、千葉県にある柴海農園という農家。自家栽培の玄米を使用しており、糀を用いた糖化の工程もすべて柴海農園が手がけています。

糀という日本の食の歴史で脈々と受け継がれてきた文化と、地域の農家の取り組みが結びつき、あらたな食文化を創出するべく生まれた甘糀ジャム。パッケージもかわいくデザインされているので、贈り物としても喜ばれそう。

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甘糀ジャムは原料から加工、販売までのすべてを柴海農園が手がけています(写真提供:柴海農園)

実際に玄米味の甘糀ジャムを口にしてみたところ、さわやかな甘さと玄米の香ばしさが感じられる穏やかな味わい。パンに塗るのはもちろん、料理のアレンジに使うもよしと、愛称のよい食材も多そうです。肉じゃがなど、普段砂糖で味を整えているような料理に使用すると、奥ゆきのある味を作ることができます。

チョコレートやレモンバターを含むタイプのものであれば、ケーキなどのお菓子に使ってもマッチするはず。砂糖で甘さを整えたものと比べれば、カロリーが抑えられるうえに、代謝を促す酵素も摂れるため、ダイエット中の人にもうれしい効果が得られます。

柴海農園の甘糀ジャムはこちらのサイトで購入できます。

■「糀」のトレンドから日本の食文化を見つめなおす

糀は中国にその起源をもつといわれ、古くから日本人の食生活に寄り添ってきました。使われ方は地域ごとにさまざまですが、インターネットなど多くの人が参加できるメディアが普及した現在、その効果とおいしさが口コミで広がり、先述の塩糀ブームを生み出すに至りました。

そして今度は、甘糀のトレンドが生まれつつあります。糀は目新しいものではなく、昔から日本に存在したもの。それゆえに、舶来の文化の広がり方とは異なります。価値あるものを再認識し、時代に合わせたかたちで発展させるのは日本人の得意とするところです。

現在にわかに叫ばれている「地方創生」においても、甘糀ジャムを開発した千葉県の柴海農園のように、日本古来の文化を見つめなおし、地域レベルで自発的に取り組めるものはたくさんあるはずです。目まぐるしく流れてくる新しい情報をチェックするよりも、日々の食卓で口にしているものに目を向けてみることで、私たちの未来を豊かにするきっかけが得られるかもしれません。

(執筆:Facebook navi編集部)

【取材協力】
シダ・ヨシヒコ
調理師学校を卒業後、欧州のホテル/レストランで活躍。帰国後、24年間にわたり母校である新宿調理師専門学校の西洋料理教授を担当。教え子は2万人にのぼる。現在は東京を拠点に、料理人の地位向上と料理業界をさらに盛り上げるために「シダ☆ラボ」の主宰として活動。

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